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オバマ大統領がノーベル平和賞を受賞した。本人は驚き恐縮したと言う。正常な反応だ。 10月10日付『毎日』に限って言うと、秋葉忠利広島市長は「嬉しい」と言い、田上富久長崎市長も「ふさわしい」と歓び、広島県原爆被害者団体協議会理事長坪井直氏も日本原水爆被害者団体協議会の田中熙巳事務局長も、原水爆禁止日本協議会の高草木博事務局長も歓迎し、 張本勲、中沢啓治、山口仙二、下平作江、道上昭雄の諸氏も、歓びと期待を語っている。 識者として、大阪女学院大学大学院の黒澤満教授・立命館大学の安斎育郎教授・大阪経済法科大学アジア太平洋研究センターの吉田泰彦客員教授も、激励や期待の表れと好意的に受けとめる。 ぼくは、広島市立大学広島平和研究所の水元和実准教授の「まだ世界が動き出した訳ではなく、早すぎる受賞という印象だ。これから真価が問われる」という感想に近い。 大いに共鳴するのは、3歳で被爆した児童文学作家の那須正幹氏のコメントだ。「私は現役の政治家にノーベル平和賞が授与すべきではないと思う。沖縄密約問題が浮上した佐藤栄作元首相の例もある。オバマ大統領も、アフガニスタンでどうするのかなど、未知数だ。今回の授賞には余り感心しない。ただ、プラハ演説が世界の動向を変えたのは事実で、その点は評価している。核兵器廃絶への道筋を示したヒロシマ・ナガサキ議定書の実現に向けて努力し、成果を出してもらいたい」。 アフガニスタンへ増派計画、イスラエルのガザ襲撃に沈黙も、彼が平和主義者ではないことを示していますが、核廃絶についても、「我がアメリカは率先して廃絶に着手する」と約束しない、「唯一の核兵器使用国としての道義的責任」を言うなら、ヒバクシャに謝罪を表明し、少なくとも唯一の被爆国日本からアメリカの核の傘は撤去する、と言明すべきでしょ。広島と長崎を訪問してもらいたいのは、被爆の実相を知ってもらいたいだけでなく、「過ちは繰り返しませぬ」と刻まれた慰霊碑の前で、「核兵器使用禁止条約締結」を世界に誓約し、「核兵器先制不使用」を世界に宣言してもらいたいからです。 過去にノーベル賞を受賞した政治家14人を『毎日』が列挙している。91年のアウンサンスーチー氏、93年のアフリカ民族会議(ANC)議長ネルソン・マンデラ氏や00年の韓国大統領・金大中氏などには納得するのだが、74年の元首相・佐藤栄作氏には異議あり!だ。 佐藤栄作氏の受賞理由は、外交交渉で沖縄返還を実現したこと、非核3原則政策を打ち立てたこと、だった。しかし、今日、「核抜き本土並み返還」はウソで、非核3原則も「持ち込み」について密約があって実際は2原則でしかなかったことが明白になっている。 さらに言えば、共同通信社ワシントン支局長などを務めた松尾文夫氏の著作『銃を持つ民主主義』で初めて知ったのだが、あの東京はじめ67都市に夜間無差別焼夷弾爆撃を指揮し50万人の生命を奪い、朝鮮戦争では北朝鮮の都市・農村・農業ダムを無差別爆撃して、人口の20%に相当する約200万人を殺害し、ヴェトナム戦争では北ヴェトナムを「石器時代にもどしてやる」と放言したカーチス・ルメイ将軍に対して、佐藤内閣は勲一等旭日大綬章を授与したのだ。航空自衛隊の育成に寄与したという理由でだ。 こういう政治家が平和に貢献した、ましてノーベル平和賞に値する実績を遺したなどとは、到底言えない。ノーベル平和賞の権威を貶めるものでしかない。 オバマへの激励と期待を込めることで、核のない世界を実現する「はずみ」にしたい、これが選考委員会の思惑だとして、それ自体に異論はないのだが。それにしてもだ。 2009/10/11 須田 稔 |
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